2010-01-01から1年間の記事一覧

非順応主義

批評行為昨今批評行為が誰にも可能になったことによって批評家の存在意義自体が問われている。 批評行為はその分野の専門家があるいは批評家という人種が、ルールに沿ってある対象に対して論考するという行為で、その批評行為は一般が対象を認識する際の指標…

残滓

いつの時代でも行為には理由があり、しかし残るのは記録だけだ。理由はある特定の時間しか有効でない。それが衝動的であるほどそうだが記録は不変で、よって時間の経過とともに理由は置き去り。戦争に恐怖したところで50年も経過すれば戦争をする理由を探す…

価値

金銭を使う、消費する行為の快感が存在する。金銭の使い方において、自分が何に金銭を使うか、要は何と交換すれば快感を得られるか、という相談を受けたが、消費行為と商品が自己を規定するという考えに基づけばそれはそのまま自己規定の問題になる。 しかし…

禁止

やってはいけないことを増やすことで、そのやってはいけないことを侵す人間が減ることは無い。禁止されることでその行為は新たな意味を持ち以前よりも魅力的になるのだろう。いかがわしさの持つ魅力、なのだけれど、所謂アンダーグラウンドという事だ。よく…

退屈

三島の「奔馬」のなかにこんな言葉がある。 神風連史話という冊子を三十八歳の本多に勧める十九歳の飯沼勲に対して 「その年齢特有の、自他の感動の質の区別がつかない、丁度きめの粗い紺絣の、どこまでも同じ形の飛白がつながってゆくような、辿りやすい精…

反転

終戦というものがどれほどに広範囲においての反転だったのか想像する以外に無いのだが、生命の危険が有る状態から無い状態、死が身近に有るか否か、というのは一つの焦点であるように思う。生命の保証の変わりに悪趣味を手にしたのが現代だとも思う。しかし…

幻想の復権

建築に始まる最も影響力のあるメディアというものは20世紀に音楽に変わり21世紀に映像に変わった。音楽は自分を説明するための手軽なツールへと地位を落としその結果として現れたのは殺人や自殺が不特定多数に向けて発信されるという事実であった。結果とし…

水晶玉が欲しい

小学校低学年のころ急に水晶玉が欲しくなった。友達の家に透き通ったビー玉より少し大きいくらいのガラスの玉があって、これを覗くと未来が見える、といわれた。そのとき初めて水晶玉は未来を見ることが出来るという通念のような話を知った。しばらくして、…

分別

・・・実際のところ、場合によっては、たとえ愚かしくはあってもとにかく偉大な愛から生じた熱中の対象に打ちこむほうが、まるきり打ちこまぬよりも立派なことがあるものだ。青年時代にはなおさらそうだ。なぜなら、あまりいつも分別くさい青年は、頼りにならな…

軽い親切心

11/21 六本木Super Deluxe、終りました。映像スタッフは手元にある少ない材料で素晴らしい仕事をしたと思う。自分たちは現実と乖離して絵空事のようなことをやるわけにはいかない。大勢の気の毒な人達は絵空事から離れていけない。リアルな人間がリアルに物…

永遠の問題

永遠の問題、というものについて考えている。永遠の問題はひどく人間味に欠ける人間にこそ許された権利である。人間が一人残らず居なくなるまで永遠に解決されないであろう問題に対して、何かをしようとする態度。現在の問題だけに関わっていると忘れてしま…

同士という感覚

目を瞑って階段を上り下りしていると自分が上に向かっているのか下に向かっているのか解らなくなる。目隠しの向こうの壁には端正な額に入った小さな油彩画が所狭しと掛けられているような気になる。非常に思い出深い経験でいくつかの記憶を統合してできてい…

リアル

思考から実践へと試みが続けられていく中で前提にあるものが数日前の会話のなかでのものである。詩と肉体との一致だが、個別の現実感というものをどれだけ説得力を持って提示できるかということになる。と同時に自分の修辞法についても考えさせられる。もっ…

陶酔

このところの一連の心の動きによって改めて浮き出てくる自分の恥の感覚とそれを凌駕しようとする試みが始まっているが、テーマは暴力だ。手を汚せるかどうか、という観点では一次元的に過ぎない。恥の感覚というのは言ってみれば自分の固有な問題であって、…

収穫

先日久しぶりに人と会って話をした。新作を交換する。四方山話もたくさんした。自分のものの知らなさを感じたがえらく楽しかった。自分たちの状態を考える意味でも人と話すのは良い。人に話そうとすると整理される。詩、という精神があって、演奏とか振る舞…

笑い

ようやく体調を持直してきて、改めてここ数日の日記を読み返してみると気が滅入る内容ばかりだ。確かに状況は素晴らしく良いというわけではない。体調も優れない。しかし深刻になる必要も無いのではないか。自分の固有の運命だから他人を羨んでも仕方ないし……

近代

「日本赤軍!世界を疾走した群像」を読み終わる。日本赤軍であって連合赤軍ではない。実際に中東の地に行って革命運動をした人たちや、それに関わった人達のインタビュー集。若松孝二監督のインタビューが面白かったのだけれど、それは自分の想像の範囲で理解…

喘ぐ息

季節の変わり目はいつも体調を崩す。気圧の関係?咳だとかそんなもので特に夜。眠らなければいけない時間に一人だけ苦しんでいる。呼吸が楽になるような体勢を自分で必死に探している。自分のことしか考えられない自分を恨めしく考えている。一生この状態が…

蔓延するもの

10/3のライブの映像です。阿部薫の本を読んでいる。一回性という言葉をよく目にする。 音の出し方にもう少し考えをめぐらす必要があるんじゃないかと思っている。 どういう音か既に見当はついている。腕の重さ。arm疫病にかかった獣の死骸

音の先

曲間の無音と音の始め方。曲と曲をつなぐもの。弾かないことと音の出し方。鳴らし方、音の長さと強さ。余韻、聴こえる音と聴こえない音の境界。まずはそこからやっていこう。

凝視

ひとりでいる時に何をするか。孤独をどのくらい凝視できるのか考える。誰かと居れば時間は一定の速度ですすむ。自分だけなら…。暇潰しが多いのも考えものだ。本を読んだり音楽を聴いたり、忘れるための道具は便利だ。自分ひとりのとき自分を忘れないための工…

科学と学習

ひとつの結果に対してどのくらいその事実や状況を把握できるかによってそのあとのものごとの良し悪しが決まる。分析は記録による。そのなかで出来たこと、出来なかったこと、出来たけれどやらなかったこと、を分ける。そうして出来たけれどやらなかったこと…

批評

ミュージックマガジンの別冊で「クロスレビュー」というのが出ていた。80年代にリリースされたアルバムのレビューがまとめて載っている。ここで浮き上がってくるのは批評家が批評という行為自体を表現としてとらえているという事だ。でなければこのような本…

シベールの日曜日 ライブ予定など

シベールの日曜日 セカンドアルバム「Sundays&CybeleⅡ」が発売されました。 坪内がギターを弾いている渚ようこ「あなたにあげる歌謡曲〜NAGISA篇〜」も発売されました。ライブ予定は以下のとおり 10/12(火)東高円寺U.F.O club【Far Out Project】OPEN:18:30 …

学習

10月3日のライブを終えてからギターを弾く訓練を開始した。現在の状態では弾きたいと思った音をその瞬間に弾くことができないからで、自分の頭にある音と現実の音の間にある齟齬を埋めるためである。動機がはっきりしている分はかどるだろうがそれにしたって…

労働

「カムイ伝」を読んでいる。実家には「忍者武芸帳」しかなく、これまで読んだことがなかった。第一部の三分の一くらいまで読んだがようやく役者が揃ったくらいのところである。百姓の子どもたちがとにもかくにもよく働く。 私が中学生くらいの頃、手っ取り早…

符丁

慌ただしい数日が過ぎた。三島由紀夫「潮騒」を読み直した。海と空が番うところのおとぎ話。今読むとえらく昔のディズニーのようにコミカルな描写があって可笑しい。 バンドのメンバーとスタッフが同時に「アドルフに告ぐ」を読んでいた。符丁。佐賀で久しぶ…

観念

「実録連合赤軍」をようやく見た。それに伴い産経新聞出版から出た「さらば革命的世代」という本なんかに目を通している。映画の感想、言葉の観念が一人歩きしていく様がひたすら続く。言葉は高尚、行為は卑俗、これはいつの時代も変わらないのかなと思って…

職業

どこに動機を求めるかということだ。友人を集めて楽しく音楽をやることか、自分の過剰な自意識を満足させるためか、他者を想定した場合だけ動機が必要になる。そもそも歌うという行為自体は他者を必要としない。一人でも人は歌うからだ。歌うという職業は他…

職人

建築現場で自分のことを職人と呼ぶと馬鹿にされる。自分たちのことを人夫とか作業員と呼んでいた。職人と呼ばれるのはごく一部のすべてを手作業で作ることの出来るひとだけだった。人夫だった若い青年は工場の鉄板を家に持ち帰り2メートル四方につなげてそれ…