2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

羊の歌

加藤周一著「羊の歌」は戦前・戦中・そして戦後の東京が焦土と化すまでの過程のなかで、家族、学校とその友人、そして市井の状況を映す鏡のような自己の心理的な動きを描いた自伝である。その徹底した客観性はおそらくは本人の気質によるものであり、それゆ…

記憶の所有権は誰にあるか

久しぶりに文章を書いて思うことは、自分の考えていることと言葉の並びがどの程度一致しているかということで、この点において自分の言葉の選び方、並べ方の精度にはいつも苦悩させられる。理由はたくさんあるが、まず語彙の少なさが挙げられる。長大な文章…