イギリスのEU離脱のニュースを知ったときは驚きから声をあげそうになった。しかしながらそれがなにを意味するのか、これから何が起こるのか、完全に理解している人は世界中にだれもいないのだが、明らかなのはこれが民主主義のひとつの帰結であるということである。
今回の国民投票によって明らかになったのは、以前書いた、イデオロギーの対立に代わる対立、資本移動の自由化によって起る同一空間の階層間の対立であるように思う。
今回の国民投票という手続きは民主主義の方法をとっていながら同じ土地にすむ人々の分断を視覚化させる結果となった。
日本における改憲の議論は仮に発議されればイギリス同様に、互いにいがみ合いを激化させ、まさに分断をはっきりと現出させることだろう。
憲法を焦点とする対立はしかし、イギリスのそれと違い、経済―貧富の差によって立場が異なるわけではない。いわゆる保守派が改憲を訴えるような逆転現象が起こっている以上これはイデオロギーの問題でも当然ない。情報化が進み、経済的には没落している、そうした流れのなかで、分断が進めば社会がどのように変容するのか、これは全く新しい段階にあり、そう遠くない未来に地殻変動の結果が見られる状況にある。